Fujinoyama Biennale 24 Oct – 23 Nov 2020 Shizuoka, Japan
Fujinoyama Biennale 2020
24 October – 23 November 2020
James JACK
Loving Mountains: A Guide for Dismantling Intervention
「山を慈しんでいる:介入を取り除くための手引き」
ジェームス・ジャックは、世界中に存在する社会とエコロジー(生態系)の関係を再生することに関心を持ち、各地で活動をしています。今回彼は、かつて富士山頂に建てられていた測候所のレーダードームが撤去されたという出来事に着目し、そこにハワイ島 のマウナケア山の姿を重ねました。この複数の場にまつわる新たなインスタレーションは、“ここ”と“そこ”の両方を癒し、地球のこころを覗きこむ空間をひらきます。
「神聖な山」として地元の人々の信仰の対象であるマウナケア山は、天体観測に好条件であるため、現在13台の天文観測所が建設されています。そして今、新たに世界一巨大な天文台を建てようとしており、それに対して自然と文化を守るための市民運動が起こっています。
コロナ禍で今年1月以降来日が叶わなくなった作家は、「人間が行動を控えることによって地球の空気・海・自然が復活している場所は非常に多くある」と言っています。数年前に静岡での環境アートワークショップと去年富士市の視察の延長線上で、富士山で起きた出来事についてオンラインでのインタビュー、文献、オーラルヒストリーの調査などを続け、専門家への質問や住民への聞き取りによってリサーチを進めました。
今日我々人類が山や、水の流れ、地層といった生態系に対して押し付けているもの。その介入を取り除く手引きを提示するために、この作品では山の持つ大きな歴史の周縁にある、ローカルな出来事に目を向けます。富士山とマウナケア山、山と人、歴史と現在、複数の視点を重ね、つなげていきながら、山を慈しむことを表現することができます。
http://fujinoyama-biennale.com
Shizuoka, Japan
座談会
人間、人間を超えて、山や大地を慈しむため
介入が減ることを通じた復活するものについて考える
ジェームズ・ジャックの「山を慈しんでいる:介入を取り除くための手引き」作品のインスタレーション風景2020年
富士の山ビエンナーレでの座談会
2020年11月22(日曜)
13時半―15時半
120分程度の対話
オンライン自由参加(無料)
Z O O Mのリンクはこちら
座談会概要
人間は自然環境の中で生きているが「これまで人間社会がおこなってきた自然への介入行為を、いかに解消していくか」と言う点について考えていきます。今年はコロナの影響もあり、そのような人と環境の関係性について再考をする年であると言われています。コロナ禍の状況は「Anthropause(人類の一時停止)」を引き起こしており、それは現代社会を象徴する厄災であり、科学研究、文化実践、社会運動などの分野でもこの状況を通じて深く考え、広い学びの機会となるでしょう。
もし仮に、山が大学であれば、そこではどんな学びができるでしょうか。ここで静岡の地域をはじめ他の場所も含めて、様々な研究者、キュレーター、N P O実践者、アーティストの観点から検討していきます。
今日の我々人類が、山や、水の流れ、地層といった生態系に対して(人間社会から)押し付けてしまっているものとして、撤去予定の構築物や閉鎖された建物、豊富な自然や汚染された自然などがあります。押し付けているものを取り除くための手引きを提示するために、山の持つ大きな歴史の周縁にある、ローカルな出来事に目を向けます。富士山と他の山の事例を考察し、人と人間を超えるもの、歴史と現在、水と大地から複数の視点を重ね、つなげていきながら、生き物を慈しむ方法について考えていきます。慈しむためのノーハウを共有していくために、皆さまと会話の場を開きます。
登壇者:
平野雅彦 (国立大学法人 静岡大学人文社会科学部 客員教授)
土器屋 由紀子(江戸川大学 名誉教授・認定NPO法人富士山測候所を活用する会 理事)
羽山まり子(アーティスト)
ジェームズ・ジャック(アーティスト・イェールシンガポール国立大学 助教授)
清水裕子(アート&ソサイエティ研究センター 副代表理事・大阪市立大学都市研究プラザ 特別研究員)
ファシリテーター:
森健太郎(富士の山ビエンナーレ キュレーター)
協力:
佐藤彩乃(南洋理工大学 芸術・デザイン・メディア学 博物館学と学芸の実践 大学院生)
富士の山ビエンナーレ概要
富士山の麓に位置するこの地域は、高くそびえる富士山と南アルプスの山々からの豊富な水や日本で最も深い駿河湾からの資源といった自然の恩恵多い土地であることに加え、東西には東海道南北に身延道と富士川が通っており、古くから交易の主要地として栄えてきました。しかし現在、高速道路に代表される近代の交通路は、巨大化した東西の都市をつなぐ線となり私たちの街を貫く形となっています。東西南北の交易と共に繁栄してきたこの地の文化は、徐々に風化し、歴史を生き抜いた建築物は役目を終えて止まったようにひっそりとたたずんでいます。私たちの愛するこの街が止まらないように、現在進行形の生き生きとしたアート作品が街に命を吹き込んでくれることを期待し、この芸術祭を開催します。